傾注!
諸君、ようこそ。
TT33(トカレフ自動拳銃)のお話。(5)から続きます。
灯台守さん、SSSさん正解。

右側の実包は弾頭のジャケットが真鍮メッキされていますね。最初に発見した時には「なんじゃこりゃ?」と思ったものです。
さらに、こちらの画像をご覧下さい。

下の実包は弾頭のジャケットがクロムメッキされています。面白いですね。
さて、どうしてこんな事が起こっているのかと言えば…戦時中だから。
要するに、物資は不足するものですから、その場にある材料を使って生産を続けないといけません。メッキ用の銅が不足してるなら手元に有る別の材料で代替して生産を続けるわけですね。
スチール薬莢を生産する技術が有ったのに、薬莢がブラス(真鍮)なのは何故かって?おそらく、当時はまだまだブラス薬莢が主流で、スチール薬莢を生産できる造兵廠は限られていたのでしょう。また、スチール薬莢を生産できる造兵廠でも、ブラス薬莢のラインが存在すれば、それを休ませる理由はありませんしね。スチール薬莢だろうがブラス薬莢だろうが、戦時にはどんどん弾薬を生産せにゃならんのです。そんなわけで、戦時中に生産された銃や弾薬には様々なバージョンが存在するのでした。
尚、熟練工の不足ってのも様々なバージョンが存在する理由の一つだと思われます。TT33のスライドの滑り止めを思い出して下さい。戦時中には
細溝のみのバージョンが存在しますが、これなんか工程の簡略化と言うよりは“熟練していない人間でも生産できるから”と考えた方がすっきりしませんか?そう考えれば、同じ年に同じ造兵廠でTT33の通常型と簡略型(細溝のみ)が造られていた事も納得がいきます。
続きます。